マンション管理士 藤城純一

話し合いのポイント


話し合いがうまく進まない場合、多くの事例において共通する点がいくつかありました。 

1.双方のコミュニケーション不足
2.関係法令、管理規約等の理解不足
3.管理の基本の理解不足
4.事前の合意事項の確認不足 

この4点に注目し、改善すれば、話し合いがより有効になるでしょう。
以下、それぞれの項目について説明致します。 

1.確認と双方のコミュニケーション不足

例えば、騒音問題において、下階から苦情が入ったが、その時間帯には、家族全員が留守にしていたはず。どうすべきか? のようなケースが考えられます。
この場合、下階の方が苦情を言う前に、上階の方に「昨日の夕方はご在宅でしたか?」などと質問し、詳細を確認すれば、無用のストレスを避けられたでしょう。
また、普段からご近所とのコミュニケーションがとれていれば、生活リズムも知っているでしょうから、そのお宅が騒音元ではないことを理解できたはずです。 

2.関係法令、管理規約等の理解不足

例えば、ペット飼育を認めているものの、管理規約等により、制限が設けられているケースを考えて見ましょう。
仮に管理規約に「犬は、体長50センチ、体重10キロまで」と書かれていたとします。
そして、管理規約を読まず、単に「ペットOK」という不動産業者の情報だけで勝手な判断をし、大型犬を飼育する区分所有者が発生することがあります。
これは、管理規約を読んでいれば、防げるトラブルです。 

3.管理の基本の理解不足

管理の基本は、
「みんなのことを みんなで考え みんなで決めて みんなで実行する」
ということです。

そして、その実行には、情報開示と透明性の確保が求められます。
また、同時に、手順を踏むことも重要です。
そして、手順を踏むことが、情報開示と透明性の確保や全員の正しい理解に役立ちますし、非営利組織においては手続き中の機会均等や公平性もトラブルの種になるからです。 

4.事前の合意事項の確認不足

事前の合意事項には、関係法令、管理規約・使用細則等、過去の総会決議、管理の基本、事実の確認などが含まれます。
管理組合では、理事会、専門委員会、意見交換会などで、話し合いが行われます。
この時、合意事項の確認不足が原因で、議論のかみ合わないケースが目立ちます。そのまま、激論を続け、関係を悪化させてしまうと、その修復はとても難しくなります。

例えば、管理費削減のため、清掃業務を見直そうとする場合、清掃業務の仕様(回数、使用器具、作業時間、委託金額等)を決める必要があります。このとき、住民の希望を確認しておかないと、新しい仕様で清掃を開始した際に苦情につながります。つまり、いくら安くなっても、汚れが目立っては満足しないことがあるわけです。しかし、あらかじめ、希望を確認し、かなり汚れが目立ってもよいから、とにかく安くしようと合意されていれば、このような不満は発生しないはずです。

これらのことに注意することで、問題の発生を少なくすることができるでしょう。
 


マンション管理士 
藤城 純一

神奈川県横浜市金沢区在住

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